臍炎、尿膜管遺残とは
尿膜管とは臍(おへそ)と膀胱をつなぐ管であり、胎児期に胎児の尿を母親に流すための通り道となっています。本来、尿膜管は成長とともに閉鎖、索状化して臍と膀胱とのつながりがなくなりますが、消失せずに残ってしまったものを尿膜管遺残といいます。
胎児の約50%、成人の約2%にみとめられると報告されています。尿膜管遺残があるだけで症状をきたすことはありませんが、この尿膜管遺残に細菌感染やがんの合併が生じることがあり、臍が赤く腫れて痛い、下腹部にしこりを触れる、血尿が出ることなどを契機にみつかることがあります。
臍炎、尿膜管遺残の症状
尿膜管遺残があるだけで症状をきたすことはありません。しかし、臍から細菌が入り込んで炎症をきたしたり、がんの合併などが生じると症状を自覚するようになります。具体的には、臍が赤く腫れて痛い、臍がジュクジュクする、臍から膿(うみ)がでて臭い、下腹部にしこりを触れるといった症状です。炎症の範囲が尿膜管遺残部まで広がってくると下腹部全体が痛くなったり、発熱や食欲低下、嘔吐などを伴ってきます。がんが合併した際には、血尿など排尿に関する症状を自覚することもあります。
臍炎、尿膜管遺残の診断
- 尿検査
尿の濁りや血尿の有無などを調べます。
- 超音波検査
膿瘍やがんの合併がないかを確認します。
- CTスキャン
X線を使って身体の断面を撮影します。尿膜管遺残や膿瘍の状態を確認することができます。
がんの合併がある際には、他臓器(リンパ節、肺、肝臓など)への転移の有無も確認することができます。- MRI
MRIはX線を使用せずに強い磁石と電磁波を使って身体の断面を描写します。
CTスキャンで尿膜管遺残の確定ができない場合に有効です。X線の被曝がなく造影剤のアレルギーのある人に対しても有効ですが、磁力を用いた検査であるため心臓ペースメーカーなど体内に金属が入っている方には行うことができません。
臍炎、尿膜管遺残の治療
感染が軽症の場合には抗生物質の使用や切開排膿などの保存的治療だけで治すことができます。しかし、炎症を繰り返す場合やがんの合併がある場合には手術治療が必要になります。
手術方法は尿膜管の遺残組織を切除、摘出します。以前は開腹手術で行っておりましたが、近年は腹腔鏡下で行えるようになり、大きな創を残すことなく、身体にかかる負担も劇的に小さくなりました。
当クリニックはロボット手術において日本トップクラスである「東京国際大堀病院」と提携しております。東京国際大堀病院では、尿膜管遺残に対して「腹腔鏡下尿膜管摘除術」を積極的に行っており、臍炎、尿膜管遺残を完治させることはもちろんのこと、安全かつ身体への負担が少ない手術を目指しております。
治療方法の詳細についてお聞きしたいことがあれば遠慮なくご相談ください。
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