血尿について
尿に血液が混じっていることを血尿といいますが、血尿には大きく分けて明らかに目で見てわかる「肉眼的血尿」と、見た目ではわからず尿検査をしてはじめてわかる「顕微鏡的血尿」との2つがあります。
健康診断や人間ドックなどの尿検査で「尿に血が混じっている」とか「尿潜血陽性です」といわれることも血尿になります。血尿は重要な病気のサインであり、尿路(尿の通り道)に何かしらの異常があれば血尿を生じる可能性があります。一般的に健康診断や人間ドックで血尿が発見される頻度は加齢とともに増加し、男性に比べて女性に多くみとめられます。具体的には、尿検査で「顕微鏡的血尿」を指摘される頻度は男性で約4%、女性では約12%で、そのうち精密検査によってなんらかの原因が特定されるのは30~40%です。さらに、悪性腫瘍(がん)が発見される頻度はそのうちの2~3%になります。
おしっこが赤いなど、尿に血液が混じっていることを目でみて判断できる「肉眼的血尿」はさらに重要な病気のサインであり、その原因は泌尿器疾患によることがほとんどです。たとえば、膀胱がんの80%は肉眼的血尿を契機として発見されます。また、腎臓がんでも最近は健康診断や人間ドックなどで偶然に発見されることが増えてきたものの、血尿を契機に見つかることも少なくはありません。
血尿の原因
血尿の原因としては、悪性腫瘍や尿路結石、膀胱炎などの尿路感染症といった泌尿器科的な病気から腎炎などの内科的な病気まで様々なものがあります。
特に悪性腫瘍は生命を脅かす危険があるため早期発見・早期治療が必要です。泌尿器科の悪性腫瘍には「腎臓がん」、「腎盂・尿管がん」、「膀胱がん」、「前立腺がん」、「精巣がん」、「陰茎がん」などがありますが、そのなかでも「膀胱がん」は、ほとんどが血尿を契機に発見されます。尿路結石の主な症状は側腹部痛ですが、ほとんどの症例で血尿をともなっています。膀胱炎でも血尿を伴う場合があります。
血尿の検査
これらの病気を早期に発見するためには、健康診断や人間ドックなどによる「尿検査」が重要です。血尿を自覚したり、検査で指摘された場合には痛みなどの症状がないからと放っておかず、早めに泌尿器科を受診することをおすすめします。
泌尿器科では尿検査のほかにまず「超音波検査」を行います。超音波検査は痛みなく行うことができるうえ、がんや尿路結石の有無などさまざまな情報を得ることができる有用な検査です。もしなんらかの病気が疑われた場合には、さらにCTスキャンやMRI、血液検査、膀胱鏡などの検査を行っていきます。
特に肉眼的血尿は重要な病気のサインです。喫煙者で肉眼的血尿がある場合は膀胱がんの疑いがありますので、「尿細胞診」という検査で尿の中にがん細胞が混じってないかどうかを調べる必要があります。
いずれの病気にしても早期に発見することができれば体にかかる負担の少ない治療が可能となります。おしっこをしていて「尿の色がおかしいな」と思ったらお気軽にご相談ください。
urology
- Share